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- 2020.04.21
- 腰部に関するお悩み
- 【施術レポート】股関節可動域制限に対する腸腰筋、体幹トレーニングの有効性
70代男性、L4,5の分離すべり症の手術、両膝関節半月板切除術の既往あり。
腰部の手術後から右の股関節にROM制限があり、背臥位での股関節屈曲でまっすぐ屈曲できず、やや外旋してしまう。(ドレーマン兆候様)。内外転の筋力も健側に比較して弱い。長時間の歩行時に股関節、足首に運動時痛が出る。当院には「腰痛、右下肢のシビレ」として受診し、施術を開始。その後、歩行時の体幹と股関節の動揺を抑え、姿勢不安定性を改善するべく、腰椎、股関節、脚部周辺への施術と併せながら痛みの出ない範囲での体幹のアイソメトリック運動と股関節の動的筋力訓練をメインにトレーニングを開始。
【主な運動種目】
・腹部ドローイン
・背臥位で股関節30°屈曲で両脚挙上させた状態でのキープ
・プランク
・側臥位での股関節外転、外旋の運動(中殿筋、大腿筋膜張筋)
・背臥位、ボールを挟んだ状態でのレッグレイズ(体幹と内転筋群)
・立位、下腿に3sのウェイトを巻き付けた状態でのニーアップ(腸腰筋)
トレーニング開始後約半年での評価として、自覚症状逓減、歩行時の不安定感の改善が見られた。右股関節のROM制限はいまだ残るものの、片脚立位保持が容易になったとのこと。他覚所見においても、歩行時の足の設置が安定し体幹、臀部のブレも見られず、体幹及び股関節周囲の筋力強化は有効であったと思われる。
患者当人の意見では、ウェイトを付けた状態でのニーアップ(腸腰筋のトレーニング)をした直後が最も調子が良く痛みなく歩けるとのこと。股関節屈曲制限があるため運動時痛が憎悪するのではないかと運動開始当初は懸念していたが問題はなかった。
今後の課題として、階段下降時の運動時痛がある。患側に体重を残している状態で健側を下段に踏み出すと、患側に痛みが出る。対応策としては、引き続き股関節周囲の筋力強化と並行して片脚でのスクワット動作(スプリットスクワット、ランジ等)を実践し、症状改善を計る。